キッチンリフォームで適用される補助金制度には、主に以下の4つがあります。

・子育てエコホーム支援事業
・長期優良住宅化リフォーム推進事業
・介護保険の高齢者住宅改修費用助成制度
・各自治体の補助金制度

これらの制度を利用すると、最大で250万円もの補助金を受け取ることも可能です。
今回はそれぞれの制度の要件や補助額、利用するときの注意点などを詳しく解説していきます。
リフォーム費用を少しでも安くして、お得にキッチンを新しくしたい方はぜひ参考にしてください。

補助金が受けられる人のたった1つの条件

以下の条件に当てはまる人は、当記事で紹介する4つの補助金制度が適用される可能性があります。

・戸建住宅や集合住宅を所有している人

自分が居住している場合はもちろんですが、賃貸物件として誰かに貸している場合でも問題ありません。
制度によって細かい要件はありますが、戸建住宅や集合住宅を所有してさえいれば、補助金が受けられる可能性は非常に高いです。
ただし、住宅ではなく店舗や事務所のキッチンリフォームの場合は適用されません。
店舗や事務所のキッチンリフォームを検討中の方は「小規模事業者持続化補助金」や「事業再構築補助金」が適用できる場合があるため、そちらのホームページをご確認ください。

補助金が受けられる主なリフォーム内容

補助金は主に以下のリフォーム内容に適用されます。

・キッチンの対面化
・キッチンの増設
・キッチンスペースの拡大
・キッチンに手すりを設置
・キッチンの段差を解消
・キッチンの床を滑りにくい素材に変更
・食洗機の設置
・レンジフードの設置
・自動調理対応コンロの設置

単純に「現在のキッチンを今よりも高いグレードのものに交換する」というようなリフォームには基本的には適用されません。
補助金を受けるためには、壁付型のキッチンを対面式に変更したり、キッチンを増設したり、キッチンスペースを拡大したりといったリフォームが必要です。
しかし、食洗機やレンジフードを新たに設置したりする場合には、その設置にかかった費用に対してのみ補助金が交付される場合があります。

補助金で交付される金額

補助金で交付される金額は制度によって様々です。
リフォームの合計費用の1/3というように割合で決まっている場合や、食洗機1台につき21,000円というように固定の金額が決まっている場合などがあります。
いずれにしても、リフォーム費用のすべてを補助金で賄うようなことはできず、必ず実費の部分は発生してしまいます。
しかし、大きな金額がかかるキッチンリフォームが少しでも安く行えるのは確かですので、リフォームを検討している人はぜひ続きを参考にしてください。
ここからは、4つの補助金制度についてそれぞれ詳しく説明していきます。

補助金制度①子育てエコホーム支援事業

子育てエコホーム支援事業は、国土交通省が行っている支援事業です。
子育て世帯や若者夫婦世帯が省エネ性能の高い住宅を取得できるように、新築住宅の購入や既存住宅のリフォームに対して補助金を交付しています。
2023年9月28日に受付を終了した「こどもエコすまい支援事業」の後継となる事業です。
「子育て」と名前がついていますが、子供がいない家庭でも利用できる制度になっています。(※ただし、子供の有無で補助額の上限が違う)
主にキッチンの対面化食洗器・レンジフード・コンロの設置工事が対象です。

【要点】子育てエコホーム支援事業では何ができる?
・キッチンの対面化:補助金額90,000円
・ビルトイン食器洗機の設置:補助金額21,000円
・掃除しやすいレンジフードの設置:13,000円
・ビルトイン自動調理対応コンロの設置:14,000円
※「キッチンの対面化」と「食器洗機・レンジフード・コンロの設置」はどちらか片方しか補助金をもらうことができません。また、キッチンリフォームの他にガラス交換や屋根改修など住宅性能向上のための工事も必須となります。

【補助対象】
子育て世帯・若者夫婦世帯による住宅の新築。
住宅のリフォーム。

【補助対象期間】
令和5年11月2日以降に工事に着手するもの。

【補助対象のリフォーム内容と補助額】
以下の①~③のいずれか1つは必須。

リフォーム内容補助額
①開口部の断熱改修
(ガラス交換・内窓設置・外窓交換・ドア交換)
3,000円~49,000円/箇所
②外壁、屋根・天井又は床の断熱改修20,000円~151,000円
③エコ住宅設備の設置
(太陽熱利用システム・節水型トイレ・高断熱浴槽
・高効率給湯器・節湯水栓・蓄電池)
5,000円~69,000円/台

以下の④~⑧は任意。

リフォーム内容補助額
④子育て対応改修
 家事負担の軽減に資する設備を設置する工事
  ・ビルトイン食器洗機
  ・掃除しやすいレンジフード
  ・ビルトイン自動調理対応コンロ
  ・浴室乾燥機
  ・宅配ボックス
 防犯性の向上に資する開口部の改修工事
 生活騒音への配慮に資する開口部の改修工事
 キッチンセットの交換を伴う対面化改修工事
3,000円~54,000円/箇所
※キッチンセットの交換を伴う対面化改修は一律90,000円
⑤防災性向上改修7,000円~41,000円/箇所
⑥バリアフリー改修
 ・手すりの設置
 ・段差解消
 ・廊下幅等の拡張
 ・衝撃緩和畳の設置
5,000円~28,000円/戸
⑦空気清浄機能・換気機能付きエアコンの設置19,000~26,000円/台
⑧リフォーム瑕疵保険等への加入7,000円/契約

上記①~⑧の合計金額が補助額となる。
一戸当たりの合計補助額の上限額は20万円~60万円。

【交付申請時期】
すべての工事の完了後。

【交付申請期間】
令和6年3月下旬~予算上限に達するまで(遅くとも令和6年12月31日まで)。
※翌年以降も類似の補助金制度が実施されている可能性があるため、期間を過ぎている場合は国土交通省のホームページをご確認ください。

<参考資料>
国土交通省 子育てエコホーム支援事業の概要資料
国土交通省 子育てエコホーム支援事業の詳細な制度の内容
国土交通省 説明子育てエコホーム支援事業の説明資料

補助金制度②長期優良住宅化リフォーム推進事業

長期優良住宅化リフォーム推進事業は、国土交通省が行っている支援事業です。
住宅の長寿命化や省エネ化などを目的として、住宅リフォームに対して補助金を交付しています。
主にキッチンの増設や対面化キッチンスペースの拡大工事などが対象です。
先ほどの「子育てエコホーム支援事業」に比べると細かい要件があるため、利用時には注意が必要です。

【要点】長期優良住宅化リフォーム推進事業では何ができる?
・二世帯、三世帯化のためのキッチン増設:補助金額は工事費の約⅓
・キッチンの対面化:補助金額は工事費の約⅓
・キッチンスペースの拡大:補助金額は工事費の約⅓
※キッチン(対面式ではない)の交換のみでは補助対象にならない可能性があります。「キッチンの増設」あるいは「対面式キッチンへの変更・交換」が補助対象です。

【要件】
①リフォーム工事前にインスペクションを行う
②維持保全計画とリフォームの履歴を作成する
③リフォーム工事後に「劣化対策」「耐震性(新耐震基準適合等)」「省エネルギー対策」のいずれかの基準を満たす
④「性能向上リフォーム」「三世代同居対応改修工事」「子育て世帯向け改修工事」「防災性・レジリエンス性の向上改修工事」のうち1つ以上を行う

【補助対象の建物】
既存の戸建住宅。
既存の共同住宅。
※事務所や店舗などの住宅以外の建物や違反建築物は対象外

【補助対象のリフォーム内容】

補助対象具体例
⻑期優良住宅化リフォーム⼯事・断熱サッシへの交換
・高効率給湯器への交換
・床下の防腐
・防蟻処理
・ユニットバスへの交換
・耐力壁の増設
・屋根の軽量化
・給水、排水管の更新
・手すりの設置
・床段差の解消
・間仕切り壁や建具等の設置
・外壁塗装
・屋根の張り替え
・雨どいの交換
・玄関スペースの拡大
・未使用の部屋の別用途化
三世代同居対応改修⼯事・キッチン、浴室、トイレ、玄関の増設
⼦育て世帯向け改修⼯事・キッチンの対面化
・キッチンスペースの拡大
・キッズスペースの設置
・床をクッションフロアに変更
・防犯カメラの設置
防災性・レジリエンス性の向上改修⼯事・止水板の設置
・瓦の交換
インスペクション等・インスペクション費⽤
・リフォーム履歴作成費⽤
・維持保全計画作成費⽤
・リフォーム瑕疵保険の保険料

【補助額】
一戸当たりの合計補助額の上限額は100万円~250万円。
「単価積上方式」と「補助率方式」のいずれか1つを選択する。

「単価積上方式」
補助工事単価の合計に補助率(1/3)を乗じた金額。
※ただし、工事費に工事費率(0.8)と補助率(1/3)を乗じた金額を上回らないこと。
※「補助工事単価」の詳細は国土交通省の「令和5年度長期優良住宅化リフォーム推進事業に関する説明資料」をご覧ください。

例)リフォーム費用300万円、補助工事単価の合計200万円の場合
200万円 × 1/3 = 約66万円
300万円 × 0.8 × 1/3 =80万円
補助額は66万円

「補助率方式」
工事費に補助率(1/3)を乗じた金額。

例)リフォーム費用300万円の場合
300万円 × 1/3 = 100万円
補助額は100万円

【対象期間】※通年申請タイプ 

補助事業の実施期間事業者登録日以降の最初の契約日~工事完了引き渡し日
事業者登録期間令和6年4月15日から令和6年11月29日
住宅登録期間令和6年4月15日から令和6年12月13日
交付申請期間令和6年5月13日から令和6年12月23日
完了報告期間令和6年6月17日から令和7年2月21日

事業者登録が完了する前に締結した工事請負契約等は補助対象外となります。
工事請負契約等は必ず事業者登録後に締結しましょう。
また、住宅登録が完了する前に着手したリフォーム工事も補助対象外となります。
リフォーム工事は必ず住宅登録後に着手しましょう。

※翌年以降も類似の補助金制度が実施されている可能性があるため、期間を過ぎている場合は国土交通省のホームページをご確認ください。

<参考資料>
国土交通省 令和5年度長期優良住宅化リフォーム推進事業に関する説明資料

補助金制度③介護保険の高齢者住宅改修費用助成制度

介護保険の高齢者住宅改修費用助成制度は、厚生労働省が行う支援制度です。
高齢者の自立を支援するために、住宅改修費用に対して保険給付を行っています。
主に手すりの設置段差の解消床素材の変更工事が対象です。
事前にケアマネージャー等に、住宅のリフォームが必要な理由を記した「理由書」を作成してもらう必要があります。

【要点】介護保険の高齢者住宅改修費用助成制度では何ができる?
・キッチンに手すりを設置:給付額は工事費用の7~9割
・キッチンの段差を解消:給付額は工事費用の7~9割
・キッチンの床を滑りにくい素材に変更:給付額は工事費用の7~9割
※支給限度額は20万円。ただし、要介護状態区分が重くなったり転居したりした場合は再度20万円までの支給限度基準額が設定される。

【支給条件】
・介護保険に加入している
・要支援1~2、要介護1~5のいずれかの認定を受けている
・対象の住宅に居住している(介護施設や病院などに入居・入院していない)

【給付対象のリフォーム内容】
①手すりの取付け
②段差の解消
③滑り防止や移動円滑化のための床素材の変更
④引き戸等への扉の取替え
⑤洋式便器等への便器の取替え
⑥上記のリフォームに付帯して必要となる住宅改修

<参考資料>
厚生労働省 福祉用具・住宅改修
厚生労働省 住宅改修概要資料

補助金制度④各自治体の補助金制度

各自治体の補助金制度は、全国の市区町村ごとに行っている独自の制度です。
お住まいの地域によって内容は様々ですので、あなたのお住まいの自治体ホームページ等をご確認ください。

補助金制度を利用するときの4つの注意点

キッチンリフォームで補助金を利用するときは、以下の4つに注意しましょう。

注意点1.制度によって申請者や受取人が違う
注意点2.申請期間や上限金額が決まっている
注意点3.国の補助金制度の併用はできない
注意点4.DIYでは補助金は受け取れない

想定よりも少ない金額しか補助されなかったり、最悪の場合は補助金が適用されなかったりする場合もあるため、覚えておきましょう。
それぞれ説明していきます。

注意点1.制度によって申請者や受取人が違う

補助金の申請者や受取人は、制度によって違う点に注意しましょう。
「子育てエコホーム支援事業」や「長期優良住宅化リフォーム推進事業」では、申請者・受取人は共にリフォーム業者です。
一方、「介護保険の高齢者住宅改修費用助成制度」では、申請者・受取人は共に一般消費者(=リフォームを依頼した人)になります。
間違えて申請してしまうと申請が通らないこともあるためご注意ください。
誰が申請をして誰が補助金を受け取るのか、これらは事前に各制度のホームページをしっかりと確認して、業者とも打ち合わせをするようにしましょう。

注意点2.申請期間や上限金額が決まっている

補助金は申請期間や受け取れる金額の上限があらかじめ決まっています。
期間を過ぎてしまうと補助金は受け取れません。
事前に申請期間を確認して、期間内に間に合うようにリフォームの計画を立てましょう。
また、リフォームをすればするほど補助金の額がどこまでも増えていくわけではありません。
上限金額はいくらなのか、自分のリフォームだといくらもらえるのか、そうような金額を確かめながら計画を立てるようにしてください。

注意点3.国の補助金制度の併用はできない

1つのリフォーム工事に対して、「子育てエコホーム支援事業」と「長期優良住宅化リフォーム推進事業」の2つの制度から補助金を受け取ることはできません。
適用できるのはどちらか片方の制度のみとなります。
そのため、どちらの制度を利用するのかは事前にしっかりと検討しておきましょう。
ただし、国の補助金制度と介護保険や地方自治体の制度は併用できる場合もあります。
併用したい場合は、各制度のホームページやリフォーム業者などに確認してみましょう。

注意点4.DIYでは補助金は受け取れない

リフォーム業者に依頼せずに自分で施工する場合は、補助金の対象になりません。
補助金を受け取る場合は、必ず業者に依頼する必要があります。
建築の知識や技術がありDIYでリフォームできる人は自分で施工してしまうのもよいですが、その場合は補助金制度が利用できないということは覚えておきましょう。

まとめ

補助金制度は書類申請に手間がかかったり、そもそも内容がわかりづらかったりするために、なかなか一般消費者に浸透していない印象があります。
しかし、利用できれば費用を大きく抑えることができるため、利用できる人はドンドン利用していきましょう。
補助金を利用する際には、リフォーム業者との連携も大切になります。
弊社には補助金を利用したキッチンリフォームの実績が豊富にありますので、検討中の方はぜひ一度ご相談ください。
お客様のご要望を重視し、ご期待に添えますよう尽力致します。